旅客と手荷物に対する航空会社の責任
以下は、欧州共同体およびモントリオール条約に従って欧州共同体の航空会社が適用している規則をまとめたものです。
死亡または傷害の賠償
旅客の死亡または傷害の責任は限定されるものではありません。しかし航空会社は128821SDR(SDRは特別引出権の意)までの損害賠償請求は拒否することができません。ただし、この金額以上が請求された場合には、航空会社は不備またはその他の過失のせいである訴えに抗弁することができます。
賠償の前払金
旅客の死亡または傷害の場合、航空会社は賠償金を受ける権利者を定め15日以内に緊急の金銭的必要性に対処するため、前払金を支払う義務があります。死亡の場合、前払金は16000SDR(約20,000EUR)を下回ってはならないことになっています。
運航の遅延
航空便遅延の回避および対処が不可能であった場合、航空会社はその責任を負います。遅延に対する賠償額限度額は5346 SDRです。
手荷物の延着
手荷物延着の回避および対処が不可能であった場合、航空会社はその責任を負います。延着に対する賠償額限度額は1288SDR です。
手荷物の破壊、滅失および破損
手荷物の破壊、滅失または破損について会社は1288 SDRまで責任を負います。受託手荷物の場合は、手荷物に欠陥がない限り、破壊・滅失・破損が会社の責任ではない時にも賠償責任を負います。機内持込手荷物の場合は会社の責任で起こった時だけ賠償します。
特別に手続きし追加料金を支払うと、手荷物の賠償金額を上げることができます。手続きは遅くともチェックイン時に行ってください。
手荷物に関する賠償請求
旅客は手荷物の破壊、滅失および破損があった場合、できるだけ早く文書で賠償請求をしなければなりません。受託手荷物の破壊、滅失および破損賠償請求は、旅客が荷物を受け取った日から7日以内に、手荷物延着の場合は、荷物が届いた日から21日以内に提出しなければなりません。
航空会社の責任
運航を行った航空会社が旅客が運送契約を締結した航空会社ではない場合、旅客はいずれの会社に対しても苦情や賠償請求する権利があります。航空会社名やコードが航空券に表示されている場合は、この航空会社が契約した運送人です。
訴訟の期限
裁判所への損害賠償請求の訴訟は、航空機の到着日から、または航空機の到着予定日から2年以内に行わなければなりません。
根拠となる規定
これらの規定は、1999年5月28日付けのモントリオール条約で定められています。この内容は、欧州評議会(EC)が定めた規則番号2027/97によって欧州共同体で運用するために承認され、規則(EC)番号889/2002およびEU加盟国の法律に補足されています。
手荷物に対する責任に関する追加情報
航空会社の責任は、モントリオール条約およびワルソー条約の規定、国内法および航空会社の規則で定められています。
これらの規則の対象外の事項については、「旅客運送約款」が適用されます。
もし破壊等が運送時、手荷物に欠陥があった場合を除き、航空会社の管理下で起こった場合、航空会社は受託手荷物の破壊、滅失および破損の責任を負います。
機内持込手荷物の場合は、破壊等が航空会社の責任で起こった場合のみ賠償します。
旅客の責任で破壊等が起こった場合は、航空会社の責任除外または軽減に関する規則が適用されます。
モントリオール条約の賠償責任の制限額は、2010年10月1日より旅客一人当たり1288 SDRです。
ワルソー条約が適用された場合の賠償限度額は、受託手荷物1キロ当たり250フランとなり、機内持込手荷物の場合は一人当たり5000フランとなります。
以上の賠償額は、航空会社責任の上限額です。
旅客はこれらの制限額内で損害の有無およびその程度を証明しなければならず、賠償額はその証明の範囲内となります。
旅程は以下の条件を満たしている場合、モントリオール条約の対象となります。
- 往復-出発がモントリオール条約を批准した国であること
- 片道-出発と到着がモントリオール条約を批准した国であること
他の場合は、ワルソー条約が適用されます。
以下の場合は責任を負いません。
法律、規則、勧告、政府の指示、旅客のこれらに対する不遵守に起因する場合の損害、
正確に定義し補償することが不可能な直接的、間接的な損害、
旅客の手荷物内のものが起因する旅客および手荷物に対する損害、
受託手荷物で運送ができないもの(壊れやすいもの、腐りやすいもの、金銭、宝石、貴金属、コンピュータ、電子機器、携帯電話、カメラ、ビデオカメラ、光学サングラス、手形、有価証券、絵画、原稿、出版物または文書、商業用サンプル、パスポート、身分証明書類、医薬品、鍵)を手荷物に入れることで起因した損害、(以上のようなものは旅客自身の責任で運ぶ必要があります。)
「LIMITED RELEASE」のタグが付いた受託手荷物に起因する損傷、
セキュリティチェック時に没収されたもの、
損害は空港に到着後、速やかに報告しなければなりません。
旅客が異議を述べず受託手荷物を受取った場合は、手荷物が運送契約に従って良好な状態で受取られたと推定されます。その後、旅客が規則に定める期限内に苦情を行なう場合は、損害が航空会社の管理下で起こったことを証明しなければなりません。
手荷物の延着を避けるため航空会社が合理的な措置と対策を取らなかった場合、またはそのような措置をとることが不可能だった場合、航空会社はその延着の責任を負います。
永住国以外で手荷物の延着が24時間を超えた旅客に対しては、延着による賠償として必需品購入に必要なコスト(衛生用品100%および衣類50%)が領収書に基づき支払われます。
賠償請求の日付は、文書送付の消印の日付、またはファックス・電子送信の場合は自動確認応答の日付となります。
以上の記述については、損害請求に対する決定根拠でも法律解釈の根拠でもありません。お客様に旅客の権利および航空会社の責任条件についてお読みいただくためのものです。
旅程が他の航空会社も関与している場合の責任条件に関する情報は、その会社のオフィスでお問い合わせください。